この記事は、ポッドキャストの文字起こしのテキストです。
こんにちは、サラリーマンポッドキャスターのまことです。
この番組では、読書好きな私が、日々の読書で学んだことを紹介していきます。
今回のエピソードの内容
今回紹介するのは、前回に引き続き、榊巻亮(さかまき・りょう)さんの「世界で一番やさしい会議の教科書」という本です。
著者の榊巻さんは ケンブリッジテクノロジーパートナーズ株式会社に所属するコンサルタントで、 ファシリテーションを生かした納得感のあるプロジェクト推進を得意とされている方です。
前回のエピソードでも紹介しましたが、「世界で一番やさしい会議の教科書」という本は一言でいうと、「会社の会議をより良いものにしていく方法」を紹介する一冊です。
内容はストーリー形式で進んでいき、主人公がコンサルタントである父のアドバイスを受けながら会社の会議を変えていく流れです。
主人公自身も、若手社員であり、「会議を変える方法なんて何も知らない」というところからスタートするので、会議を変えるためにいきなり難しい方法を実践するのではなく、できるところからスタートします。
そのため、読者自身も読みながら実践に移しやすいと思います。
ストーリー形式なので、後から復習するときに読みづらいという嫌いはありますが、主人公が読者の立場に立って、会議の変え方を学んでいくというストーリーは、会議についての本を初めて読む方にも、とても理解しやすい内容になっています。
今回のエピソードでは、そんな「世界で一番やさしい会議の教科書」という本の中から、「書くファシリテーションで議論の噛み合わない会議をなくす」という話を紹介します。
ファシリテーションとは、もともとの英語の意味は、「ものごとを円滑に進める。促進する」といった意味がありますが、日本語では、特に会議を円滑に進めるという意味で使われることが多いです。
ファシリテーションをする人と言う意味で、ファシリテーターともよくいわれます。
今回のエピソードで紹介するのは、会議の内容を書く、つまり文字に起こすことで、会議の内容を整理し、噛み合わない議論をなくすという方法です。
今回のエピソードを聞くメリット
あなたは、仕事の会議などで次のようなことを感じたことはないでしょうか?
「1時間ほどの会議で、いろいろ議論をしたけど、なんだか話がうまく噛み合っていなくて、モヤモヤする。」
こんな経験は無いでしょうか
こんな状態を解決できるかもしれないのが、今回のエピソードで紹介する書くファシリテーションです。
皆さんの会社はどうか分かりませんが、私が所属する会社で開かれる多くの会議は、ホワイトボードなどで議題を整理することなく、議論が行われます。
議論の内容が、ホワイトボードなどで書かれていないと言う事はすべて参加者の頭の中で整理しながら議論が行われていると言うことです。
これは考えてみるとすごい異常なことで、目隠しをしながら将棋をやっているようなものです。
相手の発言の内容を理解しながら、それを記憶しながら、そして、さらに自分の発言を考える。
こうしてみると、 逆に、内容を書き出さずに、ある程度ちゃんと議論ができていることの方がすごいと思いませんか?
議論の内容をホワイトボードなどに書き出すと、議論を構造的に理解できるようになり、議論が噛み合わないことを防ぐだけではなく、脳のリソースを議論の内容のみに向れるようになり、より充実した議論が交わせるようになるということもメリットとしてあります。
ここからは、まず、書くファシリテーションのやり方を説明してから、ポイントや注意点を紹介します。
そして、最後に、今回のエピソードで学んでいただいた内容を、みなさんがどのように実践し始めたら良いかというアクションプランも紹介していくという構成です。
書くファシリテーションとは
それでは早速本題に移っていきます。
書くファシリテーションとは、リアルタイムで議論の内容を、参加者が見えるように書いていくということです。
書いたものを使って何かしていく、と言うよりは、議論の内容を書くことによって、 会議の参加者が議論の内容を構造的に理解することで議論が噛み合うようになるいったものです。
何に書くかは、特に縛りはありません。
本書で紹介されていたのはホワイトボードですが、プロジェクターでPCのテキストエディターを投影しながらでもOKです。
書き方としては、ざっくりとしたイメージは、本の章立てように箇条書きで書いていきます。
章立てといってもイメージがつかない人のために簡単に説明します。
章立てには、第1部、第2部という「部」という大きな括りがあり、各部の下に、第1章、第2章の「章」という括りがあり、その下には、「節」「項」と続きます。
本の目次の書き方をイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが、「第1部」の下に「第1章」「第2章」と続くので、「第1章」と「第2章」は「第1部」よりも1段下げて書きます。
一段下げるとは、小学生の時の作文のように、段落が変わる時は、1文字分空けるみたいなことです。
そして、この「第1章」の中にも「第1節」「第2節」「第3節」と別れる場合は、さらに1段下げて書いていきます。
こんなイメージで、議論の内容も書いていきます。
1番大きなくくりとしては会議のアジェンダに書く大きな議題を書きます。
そして、その下のくくりとして議題に対しての意見や質問を書いていきます。
これだけだとわかりにくいので、本書で紹介されていた例を紹介しながら説明します。
議題は「『研修に参加する人が少ない』という問題を解決するための施策を考える」です。
ここででた意見として、「事前にしっかり予告する」と「研修への参加を強制にする」が出てきたとします。
2つの意見は、最初の議題に対してのものなので、議題の下に、一段下げて書きます。
さらに議論が進み、先ほど出た「研修への参加を強制にする」という意見に対して、「意欲がない人を集めても無意味なのでは?」という質問がでました。
そしたら、「研修への参加を強制にする」の下に、一段下げて、「意欲がない人を集めても無意味なのでは?」と書きます。
また、「『研修に参加する人が少ない』という問題を解決するための施策を考える」という議題に対して、「そもそも参加者が少ないと何が問題なのか?」という質問がくるときもあります。
こんな時は、議題に対しての質問なので、議題に対して1段下げた位置、つまり、先ほど出た「事前にしっかり予告する」と同じ高さで、書きます。
こうすることで、この意見・質問は何に対しての意見・質問かが明確になり、議論の構造を視覚的に理解できるようになります。
ここまでが書くファシリテーションの主なやり方です。
書くファシリテーションのポイント
ここからはちょっとしたポイントを紹介していきます。
ポイント①として、「意見や質問はそうとわかるように明記する」です。
ホワイトボードなど手書きであれば、質問を書く時は、頭にまる質みたいな形で、丸で囲った質問の質を書いておくとぱっと見で質問とわかるので、より議論を視覚的に理解しやすくなります。
PCにはそんな文字はないので、まる質とはかけませんが、単純に質問と書いておきましょう。
ポイント②として、「ゴシック調で書く」です。
これは、PCをプロジェクターで投影している時だけではなく、ホワイトボードに手書きで書くときも意識してみてください。
当たり前ですが、書くファシリテーションは、書いた内容が参加者全員に見える必要があるので、読みやすい文字で書くためです。
ポイント③としては、「手書きをする時は、行間は開けるようにする」です。
ホワイトボードだと書くスペースが限られているので、文字を詰めて書きがちですが、詰めて書いた結果読めないでは 元も子もないので、詰めつつも、できるだけ読みやすいように書きます。
実際書いてみるとわかりますが、文字ー文字間は多少詰まってても、ある程度、読むことができますが、上下の行ー行間が詰まっていると、かなり読みづらくなります。
文字間は詰めても、行間を開けるように意識してみて下さい。
以上が、書くファシリテーションのポイントの紹介でした。
まことの補足・解説
ここからは、私、まことなりの補足・解説をしていきます。
本書では、この書くファシリテーションは、ホワイトボードを使う方法が紹介されていましたが、私のオススメとしてはPCでワード等のテキストエディタをプロジェクター等で投影してやる方法です。
理由はスペースに限りがないため、 余計な心配をせずに書くことができることと、ここで書いた内容を少し修正すれば、そのまま参加者に展開できる議事録にできるメリットもあるからです。
先ほど紹介したように、書くファシリテーションのやり方として、議題に対して、出た意見や質問を、議題の下に書くので、ホワイトボードでやるときは、事前にスペースを開けておく必要がありますが、PCであれば、そんな余計なことを考えずにどんどん書けるので、おすすめです。
少し修正すれば、議事録にできるという点も見逃せません。
書くファシリテーションで作成したものは、議事録ではなく、発言録です。
最終的な決定事項以外にもいろいろ書いてあるので、後から見るときには不便なので、適宜、修正する必要はありますが、もともとデータで作成していれば、修正は簡単です。
ホワイトボードに書いていると、後でそれを見ながらPCに打ち込む必要があります。これはかなり非効率ですよね。
また、今回紹介した書くファシリテーションは会議の進行をする場面以外でも役立てることができると私は考えてます。
例えば、若手の方だと会議の進行を任される事はあまりないかもしれませんが、議事録を任される事は頻繁にあると思います。
なので、参加者に見えるように書かないとしても、自分用のメモとして、今回紹介した内容を実践していただくのも良いと思います。
余談ですが、「今の発言どうやって議事録に書いたら良いか分からない」というのは、議事録を任されたときのあるあるだと思います。
こんな時は書き手の理解力不足・技術不足と思ってしまいがちですが、 実は単に議論がぐちゃぐちゃしてまとまっていないだけのことも往々にしてあります。
どうやって書いたら良いか分からない時は推測して書くのではなく、「今の発言は、こういう意味ですか?」であったり、「今の発言はどういう意味ですか?」と聞いてみるのが良いです。
議論を遮るの悪いと考えがちですが、実際には、発言者の意図と違ったことを議事録に書いてしまうことの方が問題なので、あまり申し訳ないと感じる必要はないです。
アクションプラン
この番組では、毎回学んだことをどのように活かしていくかということで、皆さんにアクションプランを提案しています。
今回皆さんに提案するアクションプランは、「大きめの紙で書くファシリテーションを実施してみる」です。
これは本書の中でも書かれていた方法で、いきなり参加者の前に出て、書くファシリテーションをやると申し出るのは気が引けるという人に特におすすめの方法です。
この方法は、手元でA3位の大きめな紙に書くファシリテーションをするという方法です。
あくまで自分用のメモとして書いている程で、一応、他の人にも見える位のやり方です。
周りの人がそれを見て、議論の理解の参考してくれるようであれば、次のステップとして、「前でやらせてください。」と伝えるような流れが良いと思います。
むしろ、引っ込み思案じゃないからすぐに前に出てやりたい!という人も、いきなり今までのやり方をガラッと変えることを提案すると抵抗される可能性もあるので、この方法から始めてみるのも良いかもしれません。
職場が新しい挑戦を歓迎してくれる雰囲気であれば、いきなり挑戦してみるのも悪くないと思いますので、そこはある程度臨機応変にやっていただきたいと思います。
PCをプロジェクターで映しながらやるのがおすすめと言いながら、アクションプランが「紙でやる」とは、話が違うと思うかもしれませんが、PCの方がやりやすいと思いますが、PCの内容は周りの人から見えないので、徐々に職場に浸透させ、周りの抵抗を避けるという意味では紙に分があると思います。
まとめ
それでは今回のエピソードのまとめをします。
今回のエピソードでは、榊巻亮さんの「世界で一番やさしい会議の教科書」という本を紹介しました。
この本は「会社の会議をより良いものにしていく方法」を紹介する本で、そんな本の中から、今回のエピソードでは、「書くファシリテーションで議論の噛み合わない会議をなくす」という話を紹介しました。
書くファシリテーションとは、参加者全員に見えるように、リアルタイムで、議論の内容を章立てのように整理するということでした。
メリットとしては、議論の内容を構造的に整理することで議論の内容が噛み合うようになる事と議論の内容を記憶する必要がなくなり、議論に集中出来るようになることだと紹介しました。
そして、今回学んでいただいたことを活かしていくためのアクションプランとして、まずは、「大きめの紙で書くファシリテーションを実施してみる」ことを提案しました。
いきなり、参加者の前に出て実践するのは、ハードルが高いので、まずは、手元の紙でやって、あくまで自分用のメモとして書いている程で、一応、他の人にも見える位のやり方で始めてみるという方法でした。
前回のエピソードでも言いましたが、ビジネスパーソンの業務時間の43%が社内会議に費やしているという調査結果もあります。
そんな会議を有意義なものにすることで、より有意義な会社人生にすることができると思いますので、ぜひ今回の学びを活かして、会議を変えていただければと思います。
今回も最後まで聞いていただきありがとうございます。
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また次のエピソードでお会いしましょう。