この記事は、ポッドキャストの文字起こしのテキストです。
こんにちは、サラリーマンポッドキャスターのまことです。
この番組では、読書好きな私が、日々の読書で学んだことを紹介していきます。
今回のエピソードの内容
今回紹介するのは、楠本和矢(くすもと・かずや)さんの「会議の生産性を高めるパワーファシリテーション」という本です。
著者の楠本さんは、博報堂コンサルティングの執行役員兼HR Desin Lab.代表をされる方です。
HR Desin Lab.とは、企業または個人向けの研修プログラムを提供する会社で、その研修プログラムのエッセンスを取りまとめたのが、本書になります。
本書は、タイトルからもわかりますが、会議を効率的に進めるためのファシリテーションのやり方を解説する一冊です。
そんな本書の中から、今回は「議論がずれた時の対処法」という話を紹介します。
今回のエピソードを聞くメリット
昨今の働き方改革の影響もあり、自分の会社の会議を効率的にしたいと考えて、ファシリテーションを実践してみる人は多いと思います。
しかし、ファシリテーションはいきなりうまく行くものではなく、最初のうちは失敗もします。
その失敗の中で最も多いと言われるのが、議論がずれてしまった時に、そのズレを正せないというものです。
今回のエピソードで紹介するのは、そんな議論がずれてしまった時、どのように議論を戻すかの方法です。
著者自身が、さまざまな企業のコンサルティングの現場で生み出してきた方法でみなさんの会社の会議での議論のズレを解消します。
この後は、代表的な議論のずれ方を4つ紹介して、それぞれについて対処法を紹介していくという流れになります。
今回のエピソードの聞き方について
先ほども言いましたが、議論がズレてしまうことは、ファシリテーションの失敗で最も多いものと言われているため、みなさんの中にも、この失敗をされた方もいると思います。
そんな方は、この後紹介する対処法を聞いて、あの時どうすればよかったのかなどを考えながら聞いていただければと思います。
また、まだこの失敗を経験していない人やファシリテーションをやっていない人は、今回のエピソードを聞いて、今後ここであげられているような失敗をしないように覚えていっていただければと思います。
代表的な議論のズレ方
それでは本題に入っていきます。
まずは、代表的な議論のズレ方を4つ紹介していきます。
一気に4つ紹介してから、その後1つ1つ詳しく解説していきます。
代表的な議論のズレ方は次の4つです。
・タテズレ
・ヨコズレ
・順序ズレ
・ルールズレ
それぞれ解説していきます。
タテズレ
これは総論または各論に切り口がズレてしまうことです。
言い換えると、議論の切り口の抽象度が変わってしまう、より抽象的な話になったり、より具体的な話になったりするということです。
具体例を出すと、セールス戦略についての議論なのに、会社の方向性について話し出すというより抽象的な方向に話がズレたり、または、個別の販売促進ツールについての議論になるというより具体的な方向に話がズレたりするというようなことです。
ヨコズレ
これは並列の切り口に議論がずれてしまうことです。
これは、先ほど紹介したタテズレと比較するとわかりやすいかもしれません。
タテズレでは議論の切り口の抽象度が変わってしまうと言いましたが、ヨコズレでは抽象度は変わらず、議論の切り口がずれてしまいます。
具体的には、広告戦略についての議論なのに、商品戦略についての話が出てくるというようなことです。
順序ズレ
これは議論が先走る、または、戻るといった具合に議論がずれてしまうことです。
具体的には、まずは問題の原因の洗い出しをしてから、原因の対策協議をやろうとしているのに、1つ原因が出されたら、いきなりその原因の対策協議を始めてしまうようなことです。
ルールズレ
議論のルールを破ることです。
他のズレと言い方を統一するために、ルールズレとしていますが、ルールからズレるは、あまりしない言い方かもしれないですが、ルールから逸脱したことをするという意味合いです。
具体例としては、ブレインストーミングでアイデアの洗い出しをしたい、なので、アイデアの評価は後回しで、まずは、アイデアをたくさん出そうとしているのに、アイデアが出るといちいち「それはダメ」などと評価をしようとするといったことです。
以上が4つの代表的な議論のズレ方でした。
議論がズレた時の対処法
ここからは、議論がズレた時にどのようにズレを戻すかについて解説していきます。
直接正す
1つ目の方法は「直接正す」です。
これは文字通り、発言者および参加者に対して、ズレていることを知らせ、軌道修正してもらう方法です。
発言者もズレた発言をしていることを気づかずに、ズレた発言をしてしまっているので、直接正す時のポイントとしては、どこからどこへ議論がずれたのかをきちんと説明するということです。
例えば、タテズレの場合「今の意見は、レベル的にやや総論に当たりますね。まずは、今の論点を議論することにして、必要に応じてその話をすることにしませんか」
こんな言い方です。
別の例でいうと、順序ズレの場合は、「なるほど、これはこの次に予定してる論点ですね。まぁ慌てず、まずはこの論点を終えてからその後じっくり議論しましょう」
といった具合です。
以上が、1つ目の「直接正す」という方法です。
メンバーに確認し、間接的に正す
2つ目は「メンバーに確認し、間接的に正す」です。
常に、直接正せれば良いのですが、相手との関係性的によっては、それがやりにくい場合もありますよね。
相手が上司だったり、または、お客さんだったら、なおさら直接正すのは難しいと思います。
そんな場合に使える方法です。
やり方としては、発言者に直接いうのではなく、参加者全体に対して、論点の再確認を促し、ずれていることを認識させます。
具体的には、次のようなことを参加者全体に対して問いかけます。
「 えーっと皆さんそもそも今の論点て何でしたっけ」
または、
「 さて、皆さんここでもう一度論点を確認してみましょうか」
こうすることによって、直接指摘するのではなく、参加者に自分で気づかせることができるので、あまり角を立てずに、ズレを修正することができます。
以上が、2つ目の「メンバーに確認し、間接的に正す」のやり方です。
一旦流して、もう一度戻る
次は、最後で「一旦流して、もう一度戻る」です。
今回紹介する方法の中でもっとも角を立てずに、ズレを修正する方法です。
会社の役員との議論で、役員がズレた話をし始めたら、周りは議論がズレていると分かっていても、途中で遮ったりするのは、難しいですよね。
そこで役立つのがこの方法で、とりあえず、一区切り着くところまで、発言させてから、さっと元も議論に戻すというやり方です。
やる時のポイントとしては、自然な形でつなげるということです。
でないと、結局相手の機嫌を損ねる可能性があるからです。
どういうことかは具体例を聞いてもらうほうがわかりやすいと思いますので、本書で紹介されていた例を紹介します。
社長とのインタビューで「御社の強みを教えてください」と社長に尋ねた時の返答が「我が社の設立の経緯についてお話ししよう」なんて言われた場面があったとします。
社長の話を遮るわけにもいかないので、まずは区切りの良いところまで、話をしてもらいます。
ひとしきり話してもらったところで、本来聞きたかったはずの会社の強みについては話してもらえていないわけです。
しかし、ここで、ぶっきらぼうに「さて、それでは、御社の強みについて改めてお聞かせください」なんて言ってしまうと、相手はそれに対しての回答をしていたつもりなので、「私の話を聞いていなかったのか」となってしまうわけです。
なので、うまく自然な形で繋げる必要があります。
この場合の自然な繋げ方としては、「 社長、御社の設立の経緯については分かりました。そのような形の中で、おそらく御社ならではの様々な強みが蓄積されてきたのではないかとお察しします。次にそのような強みについて伺ってもよろしいでしょうか」という繋げ方です。
ちなみに、この方法は社内のメンバーにやりすぎる必要はないです。
この方法はズレた発言をしていることを相手に気づかせないようにして、ズレを修正する方法のため、社内メンバーにとって学びが得にくいからです。
社内会議をみんなで良くしていこうと考えた場合、メンバー一人一人がズレに気づけるようになったほうがよいので、できれば、1つ目の「直接正す」か2つ目の「メンバーに確認して、間接的に正す」という方法をとったほうが良いです。
以上が、3つ目の「一旦流して、もう一度戻る」のやり方の紹介でした。
簡単な復習
ここまでで、代表的な議論のズレ方4つとズレた議論の正し方3つの紹介でした。
簡単に復習すると、代表的な議論のズレ方とは次の4つでした。
・タテズレ
・ヨコズレ
・順序ズレ
・ルールズレ
そして、ズレた議論の正し方とは次の3つでした。
・直接正す
・メンバーに確認し、間接的に正す
・一旦流して、もう一度戻る
まことの補足・解説
ここからは、私、まことなりの補足・解説をしていきます。
先ほど、ズレ方を4つ紹介しましたが、どれを気をつければ良いんだと思われる方も多いのではないでしょうか?
ここで教科書的に、議論のズレにはこんなものがあります。ズレの対処法はこうです。と言われても、現場では、議論に参加しないといけないので、ズレばかり気にしていられないので、これは頻発するので、まずはこれに気をつけるというのがあれば教えて欲しいというのが本音だと思います。
しかし、本書にはその回答は書かれていませんでした
そこで、私の体感を紹介しようと思います。
私の体感としては、人によって、ズレ方の傾向があるということです。
こう聞くと「なんだよそれ。結局は、『臨機応変に対応しろ』って言うことで、何も参考にならないじゃないか」と思われるかもしれませんが、基本的に社内でよく会議する人はある程度絞られると思いますので、そのよく会議をする人の傾向が掴めれば、今後の会議でもズレを意識しやすくなるのではないかと思います。
例えば、私の会社の先輩は目的をしっかり意識して仕事に臨む人ですが、少しせっかちなところがあるので、先ほど紹介した議論のズレでいうと、タテズレ・ヨコズレのようなズレは起きづらく、順序ズレ・ルールズレを犯す傾向にあります。
こんな感じで、人それぞれの傾向があるので、よく一緒に会議をする人の傾向を掴むと良いと思います。
アクションプラン
この番組では毎回学んだことをどのように活かしていくかということで皆さんにアクションプランを提案しています。
今回皆さんに提案するアクションプランは、「実際に参加した会議の議論のズレがどのずれに当てはまるかを考え、対処法を考えてみる」です。
今回のエピソードを聞いていただいている方は参加する会議で議論がズレてしまって、うまくいっていないという人が多いのではないかと思います。
とはいえ、今回のエピソードを聞いたからと言って、いきなり完璧に議論のズレを修正できるようになるとまではいきません。
最終的には、議論のズレを修正できるようになっていただきたいと思いますが、まずは、状況の把握ができるようにならないと話が始まりません。
なので、ファーストステップとして、参加している会議の議論のずれがどんなズレ方をしているのか認識できるようにするというアクションプランです。
さらに、ズレ方がわかれば、ある程度修正の仕方も見えてくると思います。
その上で、どのような言い回しだったら、周りの人が議論のズレを認めて、元に戻ってくれるかを考えてみるというのが今回提案するアクションプランの内容です。
ぜひ実践してみてください。
まとめ
それでは最後に今回のエピソードのまとめをします。
今回のエピソードでは、楠本和矢さんの「会議の生産性を高めるパワーファシリテーション」という本の中から「議論がずれた時の対処法」を紹介しました。
エピソードの内容としては、まず、代表的な議論のズレについて紹介し、その後、どのように、ズレを修正すれば良いのかを紹介しました。
復習をすると、
代表的な議論のズレは次の4つで、
・タテズレ
・ヨコズレ
・順序ズレ
・ルールズレ
それぞれ
・タテズレとは、総論または各論に切り口がずれてしまうこと。
・ヨコズレとは、並列の切り口に議論がずれてしまうこと。
・順序ズレとは、議論が先走る、または、戻るといった具合に議論がずれてしまうこと
・ルールズレとは、議論のルールを破ること
ということでした。
今回取り上げさせていただいた楠本和矢さんの「会議の生産性を高めるパワーファシリテーション」という本には、会議を効率的に進めるファリシテーションのやり方が体系的に解説されていました。
今回のエピソードでは、ポイントを絞って、解説しましたが、実際にファシリテーションを実施するにあたっては、体形的に理解していたほうが圧倒的に実施しやすいと思います。
今まで会議の本を読んだことがなくて、体系的な知識が不足しているという方は、概要欄に本書のリンクを貼っておきましたので、ぜひチェックしてみてください。
それでは今回も最後まで聞いていただきありがとうございます。
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また次のエピソードでお会いしましょう。