この記事は、ポッドキャストの文字起こしのテキストです。
こんにちは、サラリーマンポッドキャスターのまことです。
この番組では、読書好きな私が、日々の読書で学んだことを紹介していきます。
今回のエピソードの内容
今回紹介するのは、前回に引き続き、榊巻亮(さかまき・りょう)さんの「世界で一番やさしい会議の教科書」という本です。
著者の榊巻さんは ケンブリッジテクノロジーパートナーズ株式会社に所属するコンサルタントで、 ファシリテーションを生かした納得感のあるプロジェクト推進を得意とされている方です。
前回のエピソードでも紹介しましたが、「世界で一番やさしい会議の教科書」という本は一言でいうと、「会社の会議をより良いものにしていく方法」を紹介する一冊です。
内容はストーリー形式で進んでいき、主人公がコンサルタントである父のアドバイスを受けながら会社の会議を変えていく流れです。
主人公自身も、若手社員であり、「会議を変える方法なんて何も知らない」というところからスタートするので、会議を変えるためにいきなり難しい方法を実践するのではなく、できるところからスタートします。
そのため、読者自身も読みながら実践に移しやすいと思います。
ストーリー形式なので、後から復習するときに読みづらいという嫌いはありますが、主人公が読者の立場に立って、会議の変え方を学んでいくというストーリーは、会議についての本を初めて読む方にも、とても理解しやすい内容になっています。
今回のエピソードでは、そんな「世界で一番やさしい会議の教科書」という本の中から、「問題解決のための会議は正しい手順を踏み、議論を発散させない」という話を紹介します。
本書の中では、会議は大きく次の5つに分類されるとしています。
それは、報告の会議、情報取集の会議、承認をもらうための会議、方針を検討するの会議、問題解決の会議です。
その中でも、5つ目の会議はもっとも難易度が高く、正しい手順を踏まないと、議論が発散して収集がつかなくなってしまうと紹介されています。
今回のエピソードでは、その問題解決の会議の正しい手順を紹介します。
もしかすると、難易度が高い会議だから頻度が低く学んでも活かせる場面が少ないのでは?と思われるかもしれませんが、ビジネスパーソンの主な仕事は現状をどう良くしていくかであり、言い換えれば、どう問題を解決していくかなので、問題解決の会議の頻度が低いことはなく、多くのビジネスパーソンに役立ててもらえる内容だと思います。
今回のエピソードを聞くメリット
あなたはこんな経験はないでしょうか?
事前に会議の進め方を検討して、「まずは問題の確認して、次に原因分析をして、解決策の検討をしよう・・・」というのを考えて、会議に臨み、シナリオ通りに解決策の検討まで進んできていたのに、参加者がいきなり、「そもそも、〇〇は問題なのかなぁ」なんて言い出して、そこから、話が巻き戻って、そのせいで時間がなくなり、最後まで議題が完了しなかった。
こんな経験ないでしょうか?
完全に一致していなくても、途中まで進めていたのに、ある一言によって、一気に、それまでの流れが崩されてしまう。こんな経験はみなさんがお持ちなのではないでしょうか?
どんでん返しされて困るとは思いつつも、意見はちゃんと吸い出すべきだしなぁとどうしたら良いかよくわからないという人もいると思います。
今回のエピソードでは、問題解決の会議のための正しい手順を紹介します。
この手順を踏めば、意見はちゃんと吸い出しつつ、どんでん返しもさせない会議が実施できるようになるので、ぜひ最後まで聞いていっていただければと思います。
では、本題に入っていきます。
問題解決の会議の流れ
問題解決の会議の正しい手順としては、全体の大きな流れと、それぞれのステップで気をつけるべきことを紹介していきます。
まずは、全体の大きな流れについて紹介します。
大きな流れとしては、8ステップあります。
1つ目は、「会議の目的と進め方の認識合わせ」
2つ目は、「事実の確認」
3つ目は、「問題の確認」
4つ目は、「問題の原因分析」
5つ目は、「解決策の洗い出し」
6つ目は、「絞り込み基準の合意」
7つ目は、「解決策の評価・取捨選択」
8つ目は、「まとめ」
それぞれ説明していきます。
1つ目の「会議の目的と進め方の認識合わせ」は、参加者全員が同じ認識を持って、会議を進めていくために実施します。
具体的には、「今回の会議では、〇〇問題の解決策を策定するところまでやります。その進め方は、これこれこれで、各議論の時間配分はこれこれです。」と伝えます。
ここで、「今回の会議では、〇〇問題の解決策について議論します。」と方向性だけ示し、終了条件を曖昧にしてしまうと、各参加者で認識のずれが生じ、進行が難しくなる可能性もあります。
方向性だけでなく、どこまでやるかも明確に伝えましょう。
では次、2つ目の「事実の確認」について、ここでは事実のみを確認します。
例えば、当社のサービスのお客様満足度が下がっているという事象があった場合、お客様満足度が下がっているというデータやお客様満足度に影響しそうなもののデータを整理します。
仮に、事前情報として、アフターサービスが悪化したからでは?という意見があったとしても、そこでいきなり問題を断定してしまわずに、まずは公平に関連するデータを集めて、憶測だけで、議論を進めないようにします。
3つ目は、「問題の確認」。
ここで、問題の認識を合わせます。
そもそも問題解決の会議を設定している時点で、何かしらの問題が発生していることは確かなのですが、とはいえ、全員の認識が合っていないこともあるので、必ず確認します。
例えば、お客様満足度が低下していることが問題だから、それを解決しようと思っていても、どれだけ満足度が低下していたら問題なのかという明確な基準はないため、低下していても、それが問題ではないと思っている人もいるかもしれません。
その認識が違えば、その後の議論が無駄になってしまうのは想像できますよね。なので、この段階で、問題の認識を合わせます。
例えば、5段階評価で、平均4.5点だったのが4.4点になった時、数値としては、低下していますが、これが問題なのかそうでないのかの判断は人によって違いそうですよね。
この低下によって、業界ナンバー1の座を奪われてしまったのであれば、お客様の印象にかなり影響するので、改善が必要と判断したり、
低下しても、まだまだダントツのトップで、2位との差は歴然であれば、注視しておく必要があるものの、今すぐ取り組まなければいけない問題ではないと判断できたりしますよね。
もちろん、満足度は少しでも高い方が良いのですが、リソースは限られているため、優先順位を決めて、仕事に取り組まなければいけないというのが、多くの企業の実態だと思います。
次、4つ目の「問題の原因分析」について。
問題を特定したら、原因を分析します。
こう聞くと、当たり前のように思いますが、問題を特定したら、原因分析をせずにいきなり、解決策を考え始めてしまう人は意外といます。
身近な例でいくと、貯金が少ないという時に、いきなり節約しようとしてしまうことです。
なぜ、貯金が少ないのか、どこの支出が多いのか、などの原因を考えずに、対策を決めてしまうことがよくあります。
原因を考えずに対策を決めてしまうと、無駄に高い家賃のアパートに住んで、月に数万円浪費しているのに、食費を抑えるために、十円、二十円の節約をするというような効果の薄い対策をすることにもなります。
なので、まずは、問題の原因をしっかりと分析します。
次、5つ目の「解決策の洗い出し」について。
問題の原因を特定したら、それに対して解決策を考えます。
絞り込みは後で行うので、ここでは、あまり意見を限定せずにいろんな解決策を考えます。
ブレインストーミングみたいなイメージです。
次、6つ目の「絞り込み基準の合意」は、前のステップで出した解決策たちの評価方法について考えるステップです。
絞り込む方法としては、実施の難易度、効果の即効性、コストなどで点数付けをして、合計ポイントが高いものにするといった方法がありますが、こういった評価方法で良いかだったり、この評価方法にした場合、どんな評価項目にするのかを決めるのが、ここで実施すべきことです。
項目別の点数付けは、よく実施される方法ですが、この方法の場合、評価項目だけではなく、各評価項目の重要度も検討します。
例えば即効性が重要ならば、即効性のポイントは2倍にするとかです。
次、7つ目の「解決策の評価・取捨選択」について。
ここでは基本的に前のステップで決めた基準に沿って、解決策の評価と取捨選択をするだけです。
先ほど紹介したポイント制で解決策を決めた場合、一番ポイントが高かった解決策が、簡単に実施できる場合は、二番目の解決策も実施するのかなどの取捨選択もします。
最後、8つ目の「まとめ」は会議での決定事項の確認です。
各ステップで、合意を取りながら進めてきていれば、ここでは確認をして終了です。
問題解決の会議の気をつけるべきこと
次に、それぞれのステップで気をつけるべきことを紹介します。
気をつけるべきことは4つです。
まずは4つ一気に紹介してから、各項目の説明に移ります。
・発散→収束のプロセスを踏む。
・話していない人を作らない。
・発言は最後まで言い切らせる。
・問題解決の4ステップを意識して、各ステップで合意を得てから次のステップに進む。
それぞれ説明していきます。
1つ目の「発散→収束のプロセスを踏む。」について。
各ステップでは、参加者の意見を出し切ってから、まとめるというプロセスを踏みましょうということです。
意見を出し切らないまま、次のステップにいくと、後々になって、意見が出てきて、大どんでん返し、みたいなことが起きるので、そうならないように意見は出し切りましょう。
これだけ聞くと、そうした方が良いのは理解できても、なかなか実践できないという人も多いです。
例えば、解決策を考える時にも、良さげな解決策が浮かんだらそれに飛びついて、意見を出し切る前にそれに飛びついてしまうこともよくあります。
2つ目の「話していない人を作らない。」について。
会議で発言しない人は以下の5通りに分類できます。
・議論についていけない人
・何かモヤモヤした思いがあるが、まとまっていない人
・何か言いたいことがあるが遠慮している人
・他の人と同じ意見なのでわざわざ話さない人
・議論に興味がない人
議論についていけない人/何かモヤモヤした思いがあるが、まとまっていない人/何か言いたいことがあるが遠慮している人は、こちらからアプローチをして発言を促す必要があります。
「発言せずにモジモジしている人に発言を促すなんて、幼稚園児かよ!」と思われるかもしれませんが、全員の意見を吸い出さずに、あとになって、「実はこう思うんですけど」と、どんでん返しされたら、困るのは私たちですので、積極的に意見の吸い上げをしましょう。
3つ目の「発言は最後まで言い切らせる。」について。
参加者でなんかモヤモヤしていて、まとまっていないけど、発言をしてくれる人もいます。
例えば、本書で出てきた例で、
「長時間議論していて会議室の空気がさぁ・・・」という発言がありました。
多くの人は、空気を読んで、その後に続く言葉を推測したりしますが、あくまで予測であって、間違っていることもあります。
「空気がさぁ・・・」に続く言葉は、
・「淀んできたと思う」という意見だったり、
・「悪くなるのはなんでだろう?」という質問の場合
・「悪いから、入れ替えよう」という提案の場合
・「悪いからいい議論ができないと思う」という懸念の場合など
いくつかの可能性があります。私たちは、相手の表情・振る舞いや普段の相手の発言などから類推しますが、間違うこともあります。
会議中での発言の意味を取り違えたら、議論が噛み合うはずがないですので、発言者には、最後まで言い切ってもらうようにしましょう。
4つ目の「問題解決の4ステップを意識して、各ステップで合意を得てから次のステップに進む」について。
先ほど紹介したプロセスにも含まれていましたが、問題解決には、次の4つのステップがあります。
事実の確認→問題の確認→原因の分析→解決策の策定
これらは、各ステップで参加者の合意が取れてからしか進んではいけません。
理由は先ほどと同じで、どんでん返しを食らう可能性があるからです。
1つ目の「発散→収束のプロセスを踏む。」と2つ目の「話していない人を作らない。」、3つ目の「発言は最後まで言い切らせる。」を意識しながら、参加者の合意をえてから、次のステップに進むというのを実践してみてください。
長くなってしまったので、簡単に復習します。
先ほどからは、問題解決の会議の正しい手順として、全体の大きな流れと、それぞれのステップで気をつけるべきことを紹介してきました。
全体の大きな流れ、8ステップあり、
1つ目は、「会議の目的と進め方の認識合わせ」
2つ目は、「事実の確認」
3つ目は、「問題の確認」
4つ目は、「問題の原因分析」
5つ目は、「解決策の洗い出し」
6つ目は、「絞り込み基準の合意」
7つ目は、「解決策の評価・取捨選択」
8つ目は、「まとめ」
各ステップで気をつけるべきことは次の4つでした。
・発散→収束のプロセスを踏む。
・話していない人を作らない。
・発言は最後まで言い切らせる。
・問題解決の4ステップを意識して、各ステップで合意を得てから次のステップに進む。
まことの補足・解説
ここからは、私、まことなりの補足・解説をしていきます。
みなさんお気づきかもしれませんが、今回紹介した内容は、当たり前のことしかいっていません。
問題解決のためには、事実を確認し、問題を確認し、問題の原因を見極め、原因に対しての解決策を考える。
各ステップで合意を得てから次に進まないと、後でどんでん返しを食らう可能性がある。
これらは考えてみれば、当たり前のことですが、実際にはなかなか実践できていないことなのです。
なぜできていないかは、いろいろ理由があると思います。
会議で良さげな意見が出てくると、興奮してそれに飛びついていしまう。
原因特定や解決策の検討では、上司の意見を優先してしまい、他の人の意見と平等にみれていない。
頭では理解していても、慣れていないので、常に意識していないと、ずれたことをしてしまう。
理由はさまざまです。
この基本ができていないことに対する私のおすすめとしては、事前準備をしっかりすることです。
事前に会議の流れを準備して、それを会議の冒頭で参加者に伝えておけば、その流れからずれた場合、自分でも気付きやすいですし、参加者が指摘をしてくれるかもしれません。
例えば、事前に会議の流れを準備して、会議の冒頭でこんな流れで進めていきますと説明し、その時に、解決策を検討するときは、まずは、意見を出し切ってから、出た解決策の評価をしましょうと伝えます。
そうすれば、上司が一見良さげな策を言っても、いきなりそれに飛びつくことはせずに、まずは、意見を出し切ってから、出た解決策の評価をするという流れにできると思います。
事前に、そういった流れを伝えておかないと、上司の良さげな意見が出て、参加者の多くが、それいいですね!それでいきましょう!という雰囲気になってしまい、そんな雰囲気のなかでは、「他の人の意見も出し切ってから次にすすみましょう」とは言い出しにくいですよね。
このような理由から事前準備をしておくことをおすすめします。
アクションプラン
この番組では毎回学んだことを、どのように活かしていくかということで、皆さんにアクションプランを提案しています。
今回皆さんに提案するアクションプランは、「問題解決の会議について会議準備シートで事前準備をしてみる」です。
会議準備シートというのは、1つ前のエピソードで紹介したもので、抜け漏れのない会議の事前準備をするためのチェックシートです。
このチェックシート については後で説明するとして、事前準備をしてみるというアクションプランにした理由としては、一応、この番組は若手社員を助けると言うことを目的としていて、 若手社員が積極的に問題解決の会議を設定すると言う事はなかなかないのではないかと考えたため、シミュレーションをしてみるという意味合いで事前準備をすると言う アクションプランにしました。
会議準備シートについては先ほども言ったように1つ前のエピソードで紹介していますが、聞かれていない方も多いと思いますし、聞かれた方にも復習がてら内容を紹介します。
会議準備シートは、次の4つの要素で構成されています。
その4つの要素とは、会議の目的、参加者、会議の進め方、必要なものでした。
この4つの要素を準備すれば、会議の準備はある程度完了したと言えます。
ざっくり説明すると、
会議の目的を設定して、その目的を達成するために必要な参加者を設定し、目的を達成するために何をすれば良いのか、また、どんなふうにたどり着くのか、どの順番で何を議論するのかという会議の進め方を考え、その会議の進め方に沿った必要な物を考えるということです。
上司・先輩が設定する問題解決の会議について会議準備シートを作成してから会議に参加することで自分事として捉えられるシミュレーションができて、勉強になると思います。
まとめ
それでは今回のエピソードのまとめをします。
今回のエピソードでは、榊巻亮さんの「世界で一番やさしい会議の教科書」という本を紹介しました。
この本は「会社の会議をより良いものにしていく方法」を紹介する本で、そんな本の中から、今回のエピソードでは、「問題解決のための会議は正しい手順を踏み、議論を発散させない」という話を紹介しました。
内容を復習すると、問題解決の会議の正しい手順として、全体の大きな流れと、それぞれのステップで気をつけるべきことを紹介しました。
全体の大きな流れは8ステップあり、
1つ目は、「会議の目的と進め方の認識合わせ」
参加者全員が同じ認識を持って、会議を進めていくために実施します。
2つ目は、「事実の確認」
ここでは、考察などは抜きに、事実のみを確認します。
3つ目は、「問題の確認」
ここでは、解決すべき問題は、なにかの認識を合わせます。
4つ目は、「問題の原因分析」
ここでは、特定した問題の原因を分析します。
5つ目は、「解決策の洗い出し」
推定した原因について、解決策を洗い出します。
次のステップで絞り込みをするので、ここでは、とりあえず意見を出し切るイメージです。
6つ目は、「絞り込み基準の合意」
前のステップで出し切った解決策を絞り込むための基準を検討します。
7つ目は、「解決策の評価・取捨選択」
合意が取れた判断基準に従って、解決策の評価をし、どれを実行するかを決めます。
8つ目は、「まとめ」で
決定事項を再確認します。
そして、各ステップで気をつけるべきことは次の4つでした。
・発散→収束のプロセスを踏む。
・話していない人を作らない。
・発言は最後まで言い切らせる。
・問題解決の4ステップを意識して、各ステップで合意を得てから次のステップに進む。
そして、アクションプランとして、「問題解決の会議について会議準備シートで事前準備をしてみる」と提案しました。
前回のエピソードでも言いましたが、ビジネスパーソンの業務時間の43%が社内会議に費やしているという調査結果もあります。
そんな会議を有意義なものにすることでより有意義な会社人生にすることができると思いますので、ぜひ今回の学びを活かして、会議を変えていただければと思います。
今回も最後まで聞いていただきありがとうございます。
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また次のエピソードでお会いしましょう。